どんなふうに紹介しよう――。
『書店員の仕事』(NR出版会)を読み終えて、頭を抱えた。
書評なんて立派なものは書けないし、ただの感想文になってもいけない。ただ、この『書店員の仕事』という本の魅力を伝えたい。この本の持つ圧倒的な「人の力」を伝えたい。
その一心で、この番外編を書かせていただきたいと思った。そしてその許可が出たので、自分なりに、『書店員の仕事』の魅力を書店員の方はもちろんのこと、いろんな方にお伝えしたい。
【第1回】全国の書店員さんと対話する「本は最高の話し相手だ」
大学生のころ、ゼミの教授にいわれた言葉だ。
教授いわく、「本は反論しないからだ」そうで。
本は、自己主張の塊だ。言いたいことを言いたい放題述べている。だから、こっちも、本に対して言いたい放題になれるのだ。
「はんっ、えらそうに言いやがって」なんて言ったってかまわない。自由に感想がいえる。
本は読者に語りかけてくるが、読者から本への返事に対しては、本は答えない。実はそこに、本ならではの自由さがあると思っている。
2017年4月15日に、NR出版会から『書店員の仕事』という本が出版された。この本は、全国の書店員59名の言葉が集められている。つまり、全国の書店員さんたちと対話することができる本だ。
『書店員の仕事』に掲載されている記事を書かれたひとりに、日ごろお世話になっている山本千紘さん(丸善岡山シンフォニービル店)がいらっしゃると知り、千紘さんの記事をぜひ読みたいと思ったことがきっかけで『書店員の仕事』を購入した。
一番に千紘さんの記事を読んだのは言うまでもない。千紘さんのお人柄が出ている記事だなあとほっこりした。その一方で、最初から改めてさまざまな書店員さんの話を読んだとき、本屋さんの現場に対する無知を痛感した。
『書店員の仕事』は2009年から2017年までの間に集められた書店員の言葉集のため、2009年の書店員さんの話を読むこともできるし、2017年の書店員さんの話を読むこともできる。
『書店員の仕事』を読んで感じたのは、かなり早い時点で(少なくとも2009年時点で)インターネットの普及による出版業界の変化に対する本屋さんの悩みは深かったということ。
そして、書店員さんによってさまざまな言い分があるものの、どの書店員さんも、根底に本屋さんへの愛があること。
「本が好きだ」――その気持ちが、さまざまな困難に立ち向かう原動力なのだろう。
本屋さんだけではない。『書店員の仕事』を読んで、今、仕事をしている人に訊いてみたくなった。
「あなたはその仕事が好きですか?」
どんなふうに紹介しよう――。 『書店員の仕事』(NR出版会)を読み終えて、頭を抱えた。 書評なんて立派なものは書けないし、ただの感想文になってもいけない。ただ、この『書店員の仕事』という本の魅力を伝えたい。この本の持つ圧倒的な「人の力」を伝えたい。 その一心で、この番外編を書かせて...
【第2回】『書店員の仕事』を読むともっと本屋さんが面白くなる 『書店員の仕事』は、4章構成の本だ。 2009-2010年、2010-2013年、2014-2017年、そして2014-2017年(東日本大震災特別篇)と、第1章から3章までは各年代ごとに書店員さんから寄せられた記事をまとめた内容...
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夏也園子
1986年7月31日生まれ。
小説マンガゲーム好きで基本雑食。
最近はなにも読めていない・できておらず(涙)
2014年『フェチクラス』(双葉社)でデビュー、
ほかに『リアルアンケート(上・下)』(KKベス トセラーズ)がある。
最近はホラーだけでなく別ジャンルにもチャレンジ中&新たに本を出版すべく奮闘中。
☆2017年『大原美術館とあなたが紡ぐ物語~小川洋子がいざなう朗読会Ⅲ』にて入賞しました。
https://www.ohk.co.jp/ohara/