NetGalleyのすすめ【第6回】~「平惣 小松島店」八百原 勝さんインタビュー記~

売りたい本を売る! ひとつひとつの作品を大切に

 

今回は、平惣小松島店にて、NetGalley(ネットギャリー)ユーザーの八百原勝さんにお話を伺った。

近年、年間で発行されている新刊数はおよそ8万冊といわれている。
8万冊もの本を、店頭に長いあいだ並べておくのは難しい。

既刊本も含めて、1年間で数万冊も並べるのは無理ですよね。次から次に新刊が出るので、せっかく届いた本を、すぐに新しい本に変えなければならないこともあります。実にもったいないと思いませんか

八百原さんは、もっとひとつひとつの作品を大切に売り出したいとおっしゃった。

出版社でも、新刊の作品数を減らして発行部数を増やそうと努めているところがあるそうだ。
10冊の新刊をそれぞれ3,000部ずつ発行するのと、6冊の新刊をそれぞれ5,000部ずつ発行するのであれば、発行部数は変わらない。

新刊の作品数を減らしていけたら、ひとつひとつの新刊を、店頭に長く並べておくことができるようになるのではないか。

新刊の作品数を絞って、集中的に売り出す。
そのために、NetGalleyは大きな力を発揮する可能性がある。

最近の出版業界は、「プルーフ(試し刷)を読みたい」という書店員には積極的にプルーフを送るようにしているそうだ。

プルーフを送ることができない場合は、献本を行うようにしているという。
しかし、どうしても献本が行き渡らない場合もあるだろう。
そんなときに、NetGalleyは便利だ。

これまでのNetGalleyのすすめでもお伝えしてきたとおり、NetGalleyで紹介される作品というのは、それぞれの出版社が「推したい!」と思っている作品だ。
NetGalleyを使えば、次にブームになりそうな作品を予想することができるし、無料でゲラを読むことができる。

「発売前に中身を確認しておきたいな」という書店員の願いを叶えてくれるのだ。
八百原さんは、NetGalleyに載っている作品というだけで、出版社の力が入っているとわかることから、「この本、応援したい」と思うそうだ。

もちろん、読んでみたいと思う作品も出てくる。
作品が発売されたあとでも、「この本ってNetGalleyに出てたのかな?」と気になったらチェックすることができる。
チェックしてみて、NetGalleyに載っていたら、「この本は出版社が推しているんだ!」とわかる。

また、自分の好きな出版社の作品を見るのも楽しいそうだ。
八百原さんがNetGalleyを利用して読んだ作品としては、『5秒 ひざ裏のばしですべて解決―壁ドン!壁ピタ!ストレッチ』 (川村 明 著/主婦の友社)や、『おべんとうしろくま』柴田ケイコ/作・絵 PHP研究所がある。

▲『5秒 ひざ裏のばしですべて解決―壁ドン!壁ピタ!ストレッチ』
(川村 明 著/主婦の友社)

▲『おべんとうしろくま』柴田ケイコ/作・絵 PHP研究所

『5秒 ひざ裏のばしですべて解決―壁ドン!壁ピタ!ストレッチ』の著者の川村氏も、『おべんとうしろくま』の作者の柴田氏も、徳島や隣県の高知と縁のある方だ。

八百原さんは、地元と縁の深い作家の作品を中心にピックアップして、地元に根付いた本屋さんを展開している。

昨年は、平惣の読み聞かせ会から生まれた)という絵本のプロモーションを総力戦で行った。
サトシンさんが読み聞かせ会のサプライズで用意したという『ごめんなさい』――たまたま居合わせたポプラ社の方との出会いから、あれよあれよという間に本になった。

『ごめんなさい』に出てくる登場人物は、実在の方をモデルにして描かれている(なんと、八百原さんも出ていらっしゃる!)。

八百原さんは、徳島に縁のある作品として、『ごめんなさい』を猛プッシュした。
徳島のメディアも総動員で、『ごめんなさい』を盛り上げた。
盛り上がりは徳島だけにとどまらず、全国に広がった。

ひとつの作品を、大切に売り出す。それも、ベストセラーを売ろうとするのではなくて、自分が応援したいと思う作品を選んで売ることが重要なのだと思います

ベストセラーは、最初からある程度の売上を見込める。
売上の予想よりも、もっと世の中に広めたい、もっと多くの方に知ってもらいたいという作品こそ、推していくべきではないか。

NetGalleyで紹介される本は、ちょうどそのような「イメージを超えて売り出していきたい」作品だ。

八百原さんは、作者や出版社の力だけでなく、書店の努力で本を売る方法をいつも考えている。

徳島は、藍染めの元となる藍染料の本場だ。
徳島では、条例で7月24日を「とくしま藍の日」と定められている。

きたる2020年の東京オリンピックに向けて、徳島では藍染めをアピールしていこうと計画を推進している。

八百原さんも藍染めに着目し、平惣オリジナルの藍カバー文庫を作った。

既刊本だが、「もう一度売り出したい!」「時代を超えて、よいものを届けたい」という作品に、藍染めを使ってデザインされたカバーを付けて販売している。

このカバーが非常に好評で、次の藍カバー作品も準備されている。

書店の力でヒット作を出せたら嬉しいです。それが、僕の書店員としての目標です

と、八百原さんはおっしゃった。

そして、ネットではなく実店舗の書店が生き残っていくためには、地元に根付いた本屋さんを展開していくことが大切だと考えています。読み聞かせ会や作者さんのサイン会の開催とか、ネットではできません。
紙のあたたかさ、ぬくもりを体験してもらえる場として本屋さんを必要としてもらえたら。本を買うだけではなくて、もっと多くの目的を持って本屋さんに来てもらえるようにしていきたいですね

地元への愛、作品への愛。

ひとつひとつの本にたくさんの思いを込めて、八百原さんは実店舗ならではのアイディアを生み出し、形にしていくのだ。

平惣 小松島店

 

【インタビュー後記】

あれは小学6年生のときだったか、クラスに自分と同じ誕生日の同級生が2人いた。
それ以来、同じ誕生日の人に会ったことはない……はずだ。
「実はね、夏也さんと誕生日同じなんですよ」
八百原さん、7月31日生まれ。寅年しし座。しかもA型。
年齢と性別以外いっしょじゃん……!!(°д°)
平惣さんのキャラクターはライオンさん。
ネコきてます!

トラもライオンもネコ科だもんね(っ´ω`c)
今年はいぬ年だけど、ネコも負けませんぞ~!
ところで私が一番気になった絵本は、パンダだった……。

八百原さん、平惣小松島店の皆様、インタビューにご協力くださりありがとうございました。

2018年2月23日 夏也園子

連載:NetGalleyのすすめ~書店員インタビュー記~
▶︎https://honya-trip.com/tag/netgalley/

 

夏也園子

1986年7月31日生まれ。
2014年『フェチクラス』(双葉社)でデビュー。
2017年に、尖端出版より『フェチクラス』の海外版(中国語版)が発売されている。
ほかに『リアルア ンケート(上・下)』(KKベストセラーズ)がある。
近頃は集中力アップと冷え対策のために、
入浴中にお絵かきロジック(ピクロス的なの)をしている。
あったかいルイボスティーに牛乳を入れて、
ルイボスミルクティーにして飲むのにハマり中♪

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