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温かいつながりを広げていくNetGalley
今回は、今井書店TONOMACHI63にいらっしゃるNetGalley(ネットギャリー)ユーザーの浜崎広江さんにお話を伺った。
TONOMACHI63は、豊富な郷土本の品揃え、地元作家による作品の展示・販売等、地域で作られたモノに特化した新しい今井書店だ。
↑平成30年3月にJR三江線が廃線予定となっていることもあり、鉄道関連の本が人気だそうです。
電車がいっぱい(°д°)鉄道好きにもたまらないコーナー♪
TONOMACHI63にいらっしゃる浜崎広江さんは、根っからの本好きだそうだ。
仕事の合間を縫って、興味のある本を読みすすめている。
浜崎さんは、上司からNetGalleyを紹介された。
NetGallyがスタートしたころからユーザーとなった浜崎さんが最初に読んだのは、『潔白』(青木俊 著/幻冬舎)だ。
浜崎さんが『潔白』を読んでいたころというのは、巷では文庫Xが話題になり、多くの人が文庫Xの正体について知ることとなったころであった。
『潔白』は、文庫Xこと『殺人犯はそこにいる』(新潮文庫)の著者である清水潔氏の協力によって書かれた作品だということを知った浜崎さんは、文庫Xと『潔白』を並べて販売した。
(余談だが、清水氏と青木氏はタッグを組んで、『知ろうとしないことは罪だ』という作品を幻冬舎plus+で発信している)
発売前の『潔白』を読み、『潔白』と文庫Xのつながりに気づいた浜崎さんだから、『潔白』発売時に文庫Xと並べて売るという販売戦略をとることができたのだ。
また、『潔白』を読んだあとにレビューを書いていたので、それをPOPに利用した。
浜崎さんは、NetGalleyを使うことで、いち早く販売戦略を立てて実践できたといえる。
▲文庫X『殺人犯はそこにいる』
(こちらはNetGalleyには掲載されておりません)
浜崎さんにNetGalleyの魅力について訊いてみたところ、返ってきた答えは、
先に読めること
やはり、発売前の新作を先に読むことができるというのは、本好きにはたまらない。
NetGalley上に掲載される作品は、閲覧期間が決まっている。
一定の期間後には、読むことができなくなるのだ。
しかし、その作品に贈られたレビューは残る。
NetGallyで紹介されていた本が後々大ヒットとなったとき、このレビューを引用すれば、すぐにPOPを作ることができる。
例えば、今年の直木賞候補となった『火定』(澤田瞳子 著/PHP研究所)は、NetGalleyで紹介されていた。
あらかじめNetGalleyで『火定』を読んで、店舗でお客さんにオススメしていた方は、直木賞候補が紹介されたときに、「やった!」と思ったのではないだろうか。
▲『火定』(c)澤田瞳子/PHP研究所
浜崎さんは、NetGalleyを利用して本を読むのは、始業前や仕事の休憩時間のことだという。
浜崎さんとお話していて話題になったのは、「誰もが読書時間を確保できるわけではない」ということだ。
日々の業務が忙しく、なかなか本を読む時間がないという方もいることだろう。
そして、NetGalleyで本を読んだら、レビューを書く必要がある。
浜崎さんは、「イマショミステリー小説探偵・はまさきのブログ」を書いており、文章を書くことに慣れているそうだ。
だから、レビューを書くことも苦にならない。
しかし、「文章を書くことは苦手だ」という方もいらっしゃることだろう。
浜崎さんいわく、「NetGalleyに載っているレビューを見ていると、短い文章でまとめてあるレビューもある」ということだった。
いっそ、その本のキャッチコピーを考えて、レビューとして投稿するのもアリなのではないだろうか。
NetGalleyを利用しようか迷っている方のネックとなっているのが「レビュー」なら、とてももったいないことだ。
浜崎さんは、「レビューを版元さんが見てくれていることがある」と教えてくださった。
版元さんから、「コメントを使わせてください」とお願いされたこともあるそうだ。
浜崎さんは、「版元さんも、ちゃんとコメントを見てくださっているんだなあと思った」と嬉しそうだった。
本を発注しようとしたとき、本の確保が難しい状況であっても、「NetGalleyさんでコメントをいただいているのならすぐに手配します!」と版元さんにいわれたことがあるらしい。
実は、NetGalleyでは、その作品に対するレビューだけでなく、版元さんに直接コメントを送ることができる。
『潔白』についても、浜崎さんは、「本の学校のミステリーコーナーで紹介したいので、10冊仕入れたいのですが」と版元さんにコメントを書いておいたところ、「すぐに手配します!」と返事がきたそうだ。
NetGalleyを利用することで、版元さんに名前を覚えてもらう機会が増え、版元さんとのやりとりがスムーズになった。
浜崎さんは、NetGalleyで本を読んだら、レビューだけでなく必ず版元さんへのコメントを書くようにしているという。
NetGalleyは、書店員と出版社の温かいつながりを生み出すシステムでもあるのだ。
【インタビュー後記】
浜崎さんとお話していて、NetGallyには隠れたお楽しみがあることを知った。
それは、「すぐ読み」機能!
よくある設定では、読みたい作品を選んだら、「リクエストボタン」を押して、出版社にリクエストが承認されるのを待つ。承認通知メールが届いたらそこからやっとダウンロードができる。出版社によっては、すぐに承認してもらえることもある。
ところが、「すぐ読み」設定の作品の場合、リクエストと承認をカットしてすぐにその作品を読めちゃうのだ。
メニューにある【作品を探す】を押して「すぐ読み」作品というボタンを押すと「すぐ読み」作品を一覧で探すことができる。そこに読みたい作品があれば、ラッキー!
なんだか遊び心いっぱいじゃないの!
浜崎さんは、物事のプラスの面をたくさん発見できる方だと思った。
お話していると、NetGallyの良さがどんどんわかってくる!
きっと、本の案内をされても、「この作品は~の部分が……で……」と、その本の良さを詳しく教えてもらえるのだろう。
浜崎さんはブログもお書きになっているので、気になる方は是非、そちらもチェックしてください(*´∀`*)
浜崎さん、今井書店TONOMACHI63の皆様、今井書店グループの皆様、インタビューにご協力くださりありがとうございました。
2018年1月21日 夏也園子
連載:NetGalleyのすすめ~書店員インタビュー記~
▶︎https://honya-trip.com/tag/netgalley/
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夏也園子
1986年7月31日生まれ。
2014年『フェチクラス』(双葉社)でデビュー。
2017年に、尖端出版より『フェチクラス』の海外版(中国語版)が発売されている。
ほかに『リアルア ンケート(上・下)』(KKベストセラーズ)がある。
近頃は集中力アップと冷え対策のために、
入浴中にお絵かきロジック(ピクロス的なの)をしている。
あったかいルイボスティーに牛乳を入れて、
ルイボスミルクティーにして飲むのにハマり中♪