NetGalleyのすすめ【第2回】~「丸善岡山シンフォニービル店」加藤一博さんインタビュー記~

NetGalleyは人をつなぐ

NetGalleyは、所属する店舗名(例えば加藤さんの場合だったら「丸善岡山シンフォニービル店」)をもって、無料で登録することができるシステムである。

本に携わる仕事をしている方だと、書店以外にも、図書館に勤めている方でも利用することができる。

加藤さんいわく、NetGalleyは発売前の作品を無料で読むことができるということが、もしかしたら高いハードルに感じられることがあるかもしれないという。
「新作を無料で読んでしまっていいのだろうか」という気持ちにもなるかもしれない。
しかし、NetGalleyは気軽に利用することができるものだという。
もちろん、義務でもない。

加藤さんは、自分が請け負っている専門コーナーではない、文芸書もNetGalleyで読み、レビューを投稿されている。
加藤さんがNetGalleyを利用して読んだ本としては、
『100億人のヨリコさん』(著・似鳥鶏)光文社刊
『キッズファイヤー・ドットコム』(著・海猫沢 めろん)講談社刊
『潔白』(著・青木俊)幻冬舎刊などがある。

『100億人のヨリコさん』(著・似鳥鶏)光文社刊

『キッズファイヤー・ドットコム』(著・海猫沢 めろん)講談社刊

『潔白』(著・青木俊)幻冬舎刊

『潔白』については、加藤さんはNetGalleyでレビューを投稿した第1号だったそうだ。
NetGalleyのレビューは、出版社の方も見ている。
実際に、「加藤さんのレビューを読んだ」と声をかけてきてくださった方もいるそうだ。
NetGalleyで新作を読み、レビューを投稿することで、出版社との温かいつながりを作ることができる。

レビューについては、実際に自分の所属する店舗で使わなかったとしても、ほかの書店が見て参考にする場合がある。
NetGalleyは、自分の仕事や自分の店舗だけで有効なものというわけではなく、ネットだからこそ、全国の書店に本の情報を発信することができるのだ。
そして、本の感想を出版社にいち早くフィードバックすることができる。

加藤さんはいう。

NetGalleyを利用して本を読む・読まないは、あくまで自由なことだと思います。本を読んでからどうするかも、読んだ人が自由に決めることができます。NetGalleyは、それぞれの立場で本を読んで、その情報をどうするかを自由に決めることができるものなので、そんなにハードルの高いものではないと知ってもらいたい。1人でも多くの方に、気軽に試してもらえたらいいのではないでしょうか。

加藤さんは、お客さんが必要としている本が、そのお客さんの元にきちんと届いたらいいなと考えているそうだ。
そのためのツールとして、NetGalleyが選択肢のひとつに入っていくといいのではないか。

NetGalleyが広まることで、その本を必要としている人の元に、その本が届きやすくなったらいい。
加藤さんは、1人でも多くの方が、必要としている本をきちんと手に入れることができたらいいなと願っている。
そのために、加藤さんは、NetGalleyの門戸がどんどん広がればいいのではないかと感じているそうだ。

「大型書店だけでなく、地域に根付いた本屋さんにNetGalleyを知ってほしい」
本屋さんこそ、NetGalleyを利用することによって、独自の販売戦略を取りやすいのではないか。
本屋さんの良さは、お客さんが探している本を1冊1冊丁寧に拾うことができることだ。
大型書店だと「本が多すぎてどれを選んだらいいかわからない」と腰が引けてしまうお客さんもいるかもしれないが、地域に根付いた本屋さんなら、選択肢が絞られているからこそ本を選びやすい。

「どんな本を売りたいか」ということを、本屋さんの個性で決めることもできるだろう。
NetGalleyで「うちの店に置きたい!」という本を見つけて、発注するのも面白いのではないだろうか。

【インタビュー後記】

私の、加藤さんの第一印象は、暖かく柔らかみのある方だった。
柔軟にいろんな話を聞いてくださる一方で、ご自身の考えはしっかりしていらっしゃる方だと思った。
加藤さんご本人は、「書店員というにはまだまだ……」とご謙遜なさっていたが、私からするとプロの書店員だと感じた。
なにせ、丸善岡山シンフォニービル店の専門書コーナーを見たら、「こんな重そうな本を並べなきゃいけないのか」「謎めくタイトルがいっぱいだ」「お客さんにこのコーナーを案内していらっしゃるのか」と頭がどんどん下がっていく。

↑加藤さんにお願いして、ピースサインをしてもらった。
下段の本の厚みがどれほどのものか、想像してみてください(°д°)

もちろん、どんな本屋さんでも多くの本が存在するのだから、自分の興味の有無にかかわらずお客さんに本を案内しなくてはならないだろう。
加藤さんは本屋さんのことを話すとき、とても活き活きされているように見えた。
本に対して熱い思いを持った書店員さんだ。
実は、私にとっては自然科学系の分野は未知の世界なのだが、加藤さんに案内してもらっていると自然科学の本を読みたくなった。
加藤さん、丸善岡山シンフォニービル店の皆様、インタビューにご協力くださりありがとうございました。

2018年1月4日 夏也園子

連載:NetGalleyのすすめ~書店員インタビュー記~
▶︎https://honya-trip.com/tag/netgalley/

夏也園子

1986年7月31日生まれ。
小説マンガゲーム好きで基本雑食。
最近はなにも読めていない・できておらず(涙)
2014年『フェチクラス』(双葉社)でデビュー、
ほかに『リアルアンケート(上・下)』(KKベス トセラーズ)がある。
最近はホラーだけでなく別ジャンルにもチャレンジ中&新たに本を出版すべく奮闘中。
☆2017年『大原美術館とあなたが紡ぐ物語~小川洋子がいざなう朗読会Ⅲ』にて入賞しました。
https://www.ohk.co.jp/ohara/

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