こんにちは、NetGalley(ネットギャリー)担当の藤吉です。今回の訪問先は、東京都町田市にある久美堂(ひさみどう)四丁目店です。こちらのお店に、ネットギャリーを駆使して、料理レシピ本大賞の選考委員を務める書店員・金田希美さんがいらっしゃるということで、さっそく、お話をお伺いしてきました。
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地元町田で75年愛されるチェーン書店、久美堂
久美堂(ひさみどう)は、昭和20年に町田で開業し、今年で創業75年を誇る老舗の本屋さん。町田市を中心に7店舗を展開する地元民御用達のリージョナルチェーンだ。
▲(写真)小田急線町田駅東口を出るとすぐに見えるカリヨン広場。その向かいには久美堂本店がある。
▲(写真)久美堂本店。4フロアで雑誌やコミック、参考書から専門書、そして文具と豊富な品揃えだ。
賑わう町田一番街を南東に歩くこと約5分。少し落ちついた雰囲気に景色が変わり始め、左手に、サウスフロントタワー町田が見えてくる。このビルのショップタウンCiel(シエロ)1階に、久美堂四丁目店がある。
▲(写真)ショップタウンCiel。久美堂四丁目店入り口
▲(写真)久美堂四丁目店は、全区画で約65坪。普段使いにはぴったりな広さだ。
▲(写真)近隣のファミリー層が来店客として多く、児童書が所狭しと平積みされている。
ネットギャリーを駆使して、料理レシピ本大賞の選考委員に!
金田さんは、書店で勤めて5年目となる。熱心に書籍販売を行なうものの、もっと本のことを勉強したいと思い、何気なくネットで [ ゲラ 発売前 ] で検索したときにネットギャリーに出会ったという。
もともと出版社さんから直接ゲラをもらえたりするわけではなかったので、こんなサービスがあるんだぁ、と思ってびっくりしました。書店員なら利用できるということで、さっそく登録してみました。そこからすぐに、ネットギャリーと料理レシピ本大賞が連携するということになり、それを機にどんどん使うようになりました。
料理レシピ本大賞は、出版社がエントリーする料理本に、書店選考委員が投票する年に一度の大イベント。一次選考、そして最終選考と段階があり、最も投票数が多かった作品が大賞となる。毎年、エントリー作品が100点以上あり、それらを吟味して投票を行うため、5月から8月にかけての投票期間は、選考委員は多忙を極める。
「食べたい、だから作りたい!」
料理本に対する独自の視点
ネットギャリーは、2018年度の第5回料理レシピ本大賞からシステム協賛を行なって連携している。エントリー作品をネットギャリーに掲載することで、選考委員がいつでも、どこでも、本の中身を閲覧できるようになる。利便性を高めた投票を行うことができるのだ。金田さんは、2年前から店長に誘われて、料理レシピ本大賞の選考委員に申し込んだという。
私は、料理は大好きですが、得意ではないと自分で思っています。だから、実際に、レシピ本を見ながら作ってみて、私でも美味しい料理が作れた!という作品に投票するようにしています。でも、まずはページを開いたときに、「食べたい、だから作りたい!」と思わせるような、綺麗で美味しそうな料理写真があることも、私の投票にとって大事なポイントです。
昨年の料理レシピ本大賞で、特別選考委員賞を受賞した宮下奈都さんの『とりあえずウミガメのスープを仕込もう。』。受賞帯には、なんと金田さんが投票時に書いたコメントが掲載されたのだ。
『とりあえずウミガメのスープを仕込もう。』宮下奈都/扶桑社
その他にも、絵本賞やコミック賞、エッセイ賞などがある。金田さんは、絵本賞は全体的なストーリー性を重要視し、コミック賞については、とにかくご飯が食べたくなるひとコマがあるかどうかが投票のポイントだそうだ。
今年は、大賞発表会に絶対に参加したいんです!一昨年に、選考委員として参加しましたが、受賞作品のレシピを東京ドームホテルさんが再現してくれて、どれもこれも本当に美味しかったし、アンバサダーのキャイ〜ンの天野ひろゆきさんのトークが聞けたりと、とっても楽しかったんです。受賞作家さんのコメントを生で聞くことで、そのレシピ本がどのようにして生まれたのか、どれだけ裏側では苦労されたのか、ご自身の半生までを聞くことができ、本に対する向き合い方もそれ以来変わった気がします。
金田さんは書店員でありながら、マンガを描いている。今回は特別に、一昨年の料理レシピ本大賞の様子を、マンガ仕立ての描き起こしレポートにしていただきました!
読む楽しさ、そして届ける嬉しさ
金田さんは、料理本の他にも色んな使い方でネットギャリーを活用している。
『むかしむかしあるところに、死体がありました。』を発売前に、ネットギャリーで読ませていただきました。タイトルや内容紹介文を見て、なんだか面白そうだなぁ。と思い、すぐに双葉社さんにゲラ読みリクエストを申し込みました。斬新な切り口でのストーリー展開に引き込まれ、おもしろかったのですが、私は文芸書担当ではありません。普段はあまり積極的に提案するタイプではないのですが、思い切って店長に、「お店で並べてみませんか?」と言ってみたところ、「じゃあ、入れてみよっか」と応えてもらい、そしたら、並べてすぐに売れていきました。おもしろい!と思った自分の感性がお客様の共感を得たことが、書店員として何より嬉しいです。
▲『むかしむかしあるところに、死体がありました。』青柳碧人/双葉社
そして、その本は今や本屋大賞ノミネート作品に選ばれています。出版社さんが推している本がネットギャリーに掲載されているんだなぁということを改めて感じます。すでに厳選されたラインナップからさらに中身まで全文読めて、さらにさらに出版社さんへ直接レビューも届けることができる。ネットギャリーっておもしろいサービスですね。
金田さんが次にネットギャリーで読もうと思っている作品は、opsol bookから刊行されている作家・菫乃薗ゑさんの『フェオファーン聖譚曲』。
昨年に設立した三重県の出版社opsol bookは、今年1月に刊行となった『フェオファーン聖譚曲(オラトリオ) op.1 黄金国の黄昏』が第一作目の作品である。ネットギャリーに発売の半年前から掲載し、多数の反響を集めている。
第一作目は、出版社さんから紙のゲラをいただきました。ですが、あとあと聞くと、ネットギャリーに掲載されていた内容が校了前ということもあり、内容が紙のゲラよりも長かったと聞いています。それを読んでみたかったです~!王道な純ファンタジーで、私はこのテイストが好きなんです。二作目がネットギャリーに掲載されたということで、さっそく読んでみます!
紙のゲラも読み、ネットギャリーの電子ゲラも読み、そして料理レシピ本大賞選考委員で選書も行う、とにかくたくさんの本に親しんでいる金田さん。これからも、面白いと感じた本を、自信持ってお客様にお届けするために、たくさんの本を知り、学んでいこうと、熱い書店員魂を感じたひと時だった。
▲(写真)金田さんと昨年の料理レシピ本大賞の料理部門大賞作品『世界一美味しい手抜きごはん』はらぺこグリズリー/KADOKAWA。実際にレシピを見て、料理したうえで、投票した自信のある一票だった。P22のカフェ風てりたまチキン丼、P108の豚肉の洋風手抜き炒めを作ったとのこと。
インタビュー後記
今年の料理レシピ本大賞の選考委員にも、すでに申し込まれたということで、先だって、料理レシピ本大賞選考委員缶バッヂとネットギャリー缶バッヂをお渡ししてきました。選考委員にお申し込みいただくと、この2つの缶バッヂがもらえるキャンペーンを行なっている。
好奇心旺盛の金田さんは、今年は一体、何食分のレシピを作るのでしょう。そして、どんな熱い視点で投票をされるのでしょう。大賞発表会でお会いできることを楽しみにしております。
【久美堂四丁目店】
東京都町田市原町田4-9-8 (サウスフロントタワーシエロ1F)
TEL:042-722-6013
営業時間:10:00~21:00(休日は20時まで)
https://www.hisamido.co.jp/yon.html
久美堂四丁目店 〒194-0013 住所 東京都町田市原町田4-9-8 TEL 042-722-6013 営業時間 10:00~21:00(休日は20時まで) 定休日 HP:http://www.hisamido.co.jp/yon.html ...
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