大手のチェーン店もいいけれど、街の本屋さんには街の本屋さんの良さがあります。
埼玉県さいたま市岩槻区にある本屋さん「水野書店」も、そんな「街の本屋さん」の一つです。
創業150年の歴史をほこる老舗であるこの書店は、地域の人の集まる憩いの場として2019年にリニューアル。店舗の半分が「Cafe mao-mao」というカフェになりました。
その他にも、イベントを企画するなど街の本屋さんならではの工夫をこらし、地元の人達に愛されています。
今回はそんな水野書店の魅力をご紹介します。
目次
水野書店とは?
岩槻駅東口から徒歩6分。商店街の一角に水野書店はあります。
外観は昔ながらの本屋さんらしい、落ち着いた佇まい。
一歩中に入ると、創業150年以上とは思えない空間が広がります。
専門家が設計した店内は洗練されており、若いお客さんも多くいました。
おすすめの本がインテリアのように飾られていたり、本棚を雑貨が彩っていたり…。 思わず本を手に取りたくなる工夫 がこらされています。
そんな水野書店を取材してみると、そこには 「街の本屋さん」としての在り方を追求するこだわり がありました。
水野書店の特徴1:店員さんのセンスが光る品揃え
「あ、この本、初めて見た!」
水野書店に入ると、他の本屋さんでは見かけないような本のラインナップに驚きます。
「ベストセラーを揃えるだけなら大手書店と変わらない。街の本屋さんだからできることを。」店員さんはそう語ります。
水野書店は 「ここにしかない本」にこだわっている のです。
例えば、店舗の入り口にあるのは埼玉県や岩槻区にまつわる本。地元の地図や案内本など、地域に根ざした本が並びます。
また、大手書店では見かけないようなエッセイ本などもありました。
オーナーさんが好きな歴史ものに強く、私が訪れたときには信長と明智光秀にまつわる本が特集されていました。戦国武将が好きな人や、歴史好きな人にとってはたまらないのではないでしょうか。
「本を入荷するときにこだわっていることはありますか?」と聞くと、
「自分やまわりの人が『面白い』と感じた本を入荷するようにしている」と店員さん。
「面白いらしい」や「流行っている」といった噂ではなく、実際の読書体験をもとに読んでほしい本を厳選しています。
それだけでなく、オーナーさんや店員さんが自らインターネットで調べることもあります。
自分の目で、耳で、足で「新しい本」を見つけ、お客様に「発信する」ことを大切にしている姿勢がうかがえました。
▲水野書店の本棚。
オーナーさんや店員さんがおもしろいと思った本、お客様がおすすめしていた本など、「生の情報」を元に選んだ本が並んでいます。
もちろん購入することができます。
▲別の棚では、原田マハさんの特集が展開されていました。原田マハの本が全て揃いそうです。
街の本屋さんだからこそできる、店員さんの趣味が光るセレクトではないでしょうか。
▲こちらは、オーナーさんが好きだという歴史ものの本。歴史ものが好きな人には、たまらないのではないでしょうか。
水野書店の本棚からは、
「街の本屋さんだからこそ、できることを…。」
そんなこだわりが感じられます。
水野書店の特徴2:雑貨と出会える空間
水野書店で売っているのは本だけではありません。
本の間にはアーティストによる雑貨が並んでいます。
バスソルトやお菓子、紅茶など…。本を探すかたわら、思わず買いたくなるでしょう。
生活雑貨のセットやアクセサリー、マグカップやぬいぐるみは、プレゼントにも喜ばれそうです。
水野書店の品揃え:雑誌や児童書、参考書の品ぞろえが豊富
水野書店は、 雑誌や児童書、参考書の品ぞろえが豊富 な本屋さんです。
雑誌コーナーには、ファッション誌から旅行、歴史まで、様々なジャンルの雑誌が手に入ります。
また、児童書も多く展開されています。
ベストセラーから、なかなか見かけない絵本まで、幅広く扱っています。
絵本好きなオーナーさんが選んでいるため、チェーン店にはない品ぞろえなのも魅力的です。ここでしか出会えない児童書があるかもしれませんよ。
参考書の数も多いです。
教科書販売からスタートしただけあり、ワークや赤本がびっしりと並びます。特に学校の授業に合わせた教科書的なレベルの参考書・問題集が多いようです。
もちろん、地元であるさいたま市の教科書も販売中。教科書をなくしてしまったときは、すぐ手に入ります。
大人向けの資格取得本も豊富です。
長年教科書販売に関わってきたオーナーさんや店員さんが選んでいる参考書がそろっています。
もちろん文庫や漫画も売っているので、オールジャンルの本が手に入ります。
ベストセラーを抑えつつも、厳選された品揃えです。
Cafe mao-maoでくつろぎの時間
本を買ったあとは、カフェで一息つきたくなりますよね。
個性的な品揃えが魅力の水野書店。もう一つ大きな特徴があります。
カフェが併設されているのです。
カフェといっても、大手の本屋さんにあるようなチェーン店ではありません。 水野書店が自ら営む、Cafe mao-mao」 です。
カフェmao-maoでは、手作りのお茶やデザートが楽しめます。
ランチもあるので、食事のついでに本屋さんに寄るのもおすすめです。
カフェmao-maoの特徴
mao-maoの由来は、絵本「くまのがっこう」のキャラクターから。
「くまのがっこう」が大好きだというオーナーさんの本を愛する心が、カフェの名前にもあらわれています。
カフェとしてはもちろん、 レンタルスペースとして利用することも可能 です(要予約)。プロジェクターも完備しており、勉強会や発表会といった用途でレンタルする方が多いです。
また、 wi-fi完備 で、カフェを利用する方は無料で使えます。
落ち着いた空気の中くつろげる
早速、Cafe mao-maoを利用してみました。
店内は落ち着いた雰囲気で、読書に集中できそうです。
▲メニューには、お茶やコーヒー、デザートが並んでいます。
日替わりランチやサンドイッチなど、お食事も楽しめます。
▲ショーケースではケーキも売っています。読書のお供に甘いものはいかがでしょうか?
おすすめは、昔ながらのクリームソーダ。
懐かしい味わいが口に広がる絶品です。
Cafe mao-maoの ノスタルジックな空気 に浸ることができる飲み物です。
Cafe mao-maoのメニューは、どれもあたたかみがある優しい味がします。
店内のノスタルジックな雰囲気も相まって心地よく、読書が捗ることでしょう。
好みの一冊とともにくつろぎの時間を過ごすことができるカフェでした。
水野書店とCafe mao-maoに込められた想い
様々なイベントを実施
本屋さんとしての多くの可能性の中で「カフェを併設する」という形を選んだのは、「岩槻の文化が集まる場所」をつくりたかったからだといいます。
地域に密着し、地域の文化が集まる場所を作る。そのビジョンを体現するように、水野書店とカフェmao-maoでは、定期的にイベントを実施しています。
絵本作家さんによるイベント、ワークショップ、読書会…。
本にまつわるイベントを企画し、本を愛する人が集まる場所を提供 しているのです。
「地域の人の憩いの場」として
水野書店には子供が遊ぶことができるスペースもあります。これは、「地域の人がくつろげる場所にしたい」という願いからです。
子供が遊べるスペースがあることで、お客様が安心して本を選ぶことが出来る。
水野書店は、そんな工夫を大切にしています。
街中のあらゆる人が水野書店に集まり、本と出会い、文化と出会う。そして、安らぐ。
そこにはそんな夢があるのではないでしょうか。
地元への愛と、人のあたたかさがある本屋さん「水野書店」。
ぜひ訪れてくださいね。
水野書店&Cafe mao-mao 〒339-0057 住所 埼玉県さいたま市岩槻区本町4-2-10 TEL 048-756-0112 営業時間*水野書店:10:00~20:00 営業時間*Cafe mao-mao:10:00~18:00 ランチタイム:11:30~14:00 定休日:...
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