SF初心者にも!現代日本SF小説おすすめ5選

SF小説といえば、ロボットや宇宙など壮大なテーマの海外作品を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
しかし、実は日本でもSFは盛んなジャンルです。

 日本では、現在に至るまで数多くのSF作品が出版されています。 

特に現代のSFは、現代的な世界観や鮮やかな文体でとても読みごたえがあります。
今回は、そんな日本の現代SFのおすすめ作品を紹介します。

今時のSF作品の魅力をたっぷり味わっていただけるような作品を選びました。
ぜひ、読んでみてくださいね。

現代日本SFは読みやすい!

日本のイマドキのSFは読みやすい、と言うと、意外に思う方もいるかもしれません。
それもそのはず、SFといえば複雑な世界観と難解な用語、硬い文体のオンパレード。読み辛いという印象が強いのではないでしょうか?

しかし、 現代の日本のSFは、読み辛さがだいぶ軽減されています。 

翻訳小説ではないので文体が固いこともないですし、登場人物のキャラクターが立っているため人物にも魅力を感じられます。

ストーリーも先が気になるものや、あ!という驚きが待っているものが多く、ページをめくる手が止まりません。
(SFらしい難解な説明で何を言っているのかサッパリわからないものもあります。しかし、そうだとしても、分かりにくさだけでは終わらない余韻を残してくれる作品が多いです。)

SFとしての側面以外にも、 登場人物同士の人間ドラマやストーリーの展開で魅せてくれます 。なので、とっつきにくさがなく、SF慣れしていない人でも引き込まれること間違いありません。

サブカルチャー文化の世界観と融合し、ポップで独特な世界観や、ハイセンスで切れ味のいい雰囲気のものが多いのも魅力です。

そんな現代日本SFの魅力をお伝えしたところで、早速おすすめのSF小説をご紹介します。



おすすめの現代日本SF小説

『日本SFの臨界点』

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早川書房
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ハヤカワ文庫から出版されている、現代SFのアンソロジーです。編者は、「なめらかな世界と、その敵」の著者でもある伴名練。

『SFが読みたい!2020年版』で2019年のベストSFに選ばれた、話題の作家です。
「恋愛編」「怪奇編」の二冊の中に、日本のSFの魅力がギュッと詰まった本です。

 この本は、SFを初めて読む人におすすめの一冊 です。
短編集であるため読みやすく、日本のSFのおもしろさに触れることができます。

参加している作家はレベルがとても高く、日本SF界で有名な作家の作品が一冊に詰まっています。円城塔や津原泰水、中島らもなど、SFを知らなくても耳にしたことがあるような作家も寄稿しています。

この本がなぜ初心者におすすめか。その理由はもう一つあります。
それは、 各作品の解説と、初めてSFに触れる読者のための完全入門ガイドが収録されている ことです。SFがよくわからない人の入門編として、手厚くサポートしてくれる本でもあります。

『ハーモニー』

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人類が大規模な福祉社会を築きあげている近未来。医療の発達で、病気はほとんどなくなり、倫理が守られた「優しい社会」が発展しています。悩みもない、悲しみもない。幸せな気持ちだけしか感じないユートピア。
そんなユートピアで生き辛さを感じた3人の少女は、死ぬことを選択した…。
その時死ねなかった少女を主人公にして、物語は幕を開ける。

アニメ映画化もされた、伊藤計劃の作品です。伊藤計劃は『虐殺器官』や『屍者の帝国』など、有名な作品を残している作家です(これらは全て映画化されています)。



この作品の魅力は、魅力的な登場人物や先の気になるストーリーだけではありません。
哲学的なテーマを扱っているのも、面白さの一つです。
病気がなく、やさしさに包まれた「完璧」な世界。しかし、その幸せは本当に人間らしいのでしょうか?そんな問いを投げかけながら、 「人間とは何か」「意識とは何か」といった哲学的テーマにまで深く切り込み、考えさせられるストーリー です。
文章も読みやすいため、初めてSFに触れる方でも楽しむことができます。
ネタバレは控えますが、ラストシーンがとても素晴らしいです。是非、最後まで読んでもらいたい作品です。

『新世界より』

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舞台は1000年後の日本。
町は周辺をしめ縄で囲まれ、穢れなどは一切持ち込まれない。人々は呪力という超能力を手に入れ、病的に美しい平和が訪れていた…。
完璧な世界の中で徐々に明らかになる違和感。そして、隠された先史文明…。アニメ化もされた貴志祐介のSF小説。

1000年後の日本が舞台のこの小説は、 息もつかせぬストーリー展開が魅力 の作品です。世界観が綿密に練られており、徐々に明らかになっていく世界設定にはドキドキしてしまいます。
登場人物たちが個性豊かで、一人一人が可愛らしいのも魅力的。
ストーリー展開はとてもヘビーで、登場人物たちが少年少女であることなどおかまいなしに、容赦のない展開が続きます。
それゆえにドキドキが止まらず、ページをめくる手がとまらなくなること間違いなしです。
上・中・下巻とかなりのボリュームがありますが、文体が読みやすく台詞も多いため、気付いたら読み終わっていることでしょう。

 『〔少女庭国〕』

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卒業式会場に向かっていた少女が目覚めると、そこは張り紙が貼ってある暗い部屋。
「ドアの開けられた部屋の数をnとし死んだ卒業生の人数をmとする時、n-m=1とせよ。」
不条理なルールの中始まるのはデスゲームか、それとも―。

これは小説というより、一種の思考実験のような本です。
そのため、他のSF小説に比べると少しとっつきにくさがあるかもしれません。
キャラクターの個性はあえて剥奪されており、登場人物それぞれが「少女」という一個体として描写されるような突き放したテキスト。そして、極限状態での恐ろしい現実を淡々と描写していく様子は、SFではなくホラーとすら思うほど。
しかし、 ラストがとても美しく、全てを読んだ後にたどり着く儚くも綺麗なラストは圧巻 です。淡々とした描写の作品にも関わらず、名前の付けられない不思議な感動がわきあがってきます。



『最後にして最初のアイドル』

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アイドルを目指している少女、古月みか。しかし彼女は夢破れ、失意の内に自殺してしまう。そんな彼女の親友は、彼女を「アイドル」として生まれ変わらせるのだったが…。デビュー作で星雲賞を受賞した作家によるハードSF。表題作のほかに2編の短編を収録。

星雲賞受賞作家によるハードSFです。
「アイドル」「声優」「ソシャゲ」などの現代的でポップなテーマを扱いながらも、やっていることは本格SF。そのギャップを楽しめるのが本作の魅力です。

表題作は、一見普通のアイドルを目指す少女同士の友情物語のように始まります。しかし、 物語は急展開を迎え、最後には序盤からは想像のつかないような壮大なSF になっているのです。

物語のスケールがとても大きく、世界観が綿密に練られているため読んでいてわくわくします。同時に、登場する人物同士の関係性(名前の付けられないような二人の関係)が丁寧に描かれているのも魅力です。

壮大なハードSFとして楽しむのも良し、サブカルチャーとSFの融合を楽しむもよし。そして、登場する人物たちの名前のつけられない大きな感情に「萌え」て楽しむこともできる…。そんな一冊です。



まとめ

いかがでしたか?
今回は、日本の現代SF作品の中で、初めてSFを読む人にも読みやすい5冊をご紹介しました。
今回紹介したもの以外にも、読みやすくて面白い日本のSFは沢山あります。ぜひ読んでみてくださいね。

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ライター:淺田りな
早稲田大学文学部卒業後、ライターとして活動。
本や美容、ライフスタイルなど幅広いジャンルで執筆中。
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