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本当に正しい子育ての知識って??
幼少期の経験が大人になってから与える影響については世界各地で様々な研究も行われていますし、世の中には、これを読めば子どもを東大に入れられるとか、その子育てが子どもの将来を潰すといった親の期待と不安を煽る情報に溢れています。
実際にそれらが子どもの将来に影響を与えるのか?また、与えるとしたらどのような影響がどの程度あるのか? それは、結局は子どもが大人になる未来が来るまでは分かりません。つまりは、わからないというのが正解です。
ですが、それをわかった上で子どもを持つ親としては、より可能性の高い子育てを探して実践しようと試みるのだと思います。
子育ての正解を求めて
本屋さんに行くと、子育てに関する本もたくさんあります。
子どもの学力に関するもの、子育ての中で多くの親が抱える悩みにヒントを見つけられるもの、子どもの食育に関するもの、未来のリーダーに育てるもの、才能を伸ばすもの、親の接し方についてのもの、子育てを楽しめるようになるというもの、色々切り口もありますし、それだけ子育てというものは誰もが悩んで試行錯誤し一生懸命答えを見出そうとする難しいことだということが見て取れます。
おそらく、このような難しい問題であり、かつ、答えが数学のように1つではないし、あらゆる視点で向き合い自分と自分の大切な人の将来のために取り組むべき問題の答えを探そうとするときは、やはり、ネットで検索することもあっても、そこである程度の指針や方向性が見えたらこの1冊と決める、あるいは、それはそれとネットの情報は別に考えて、実践する知識と情報は本で得ようとする人が多いのではないでしょうか。
将来に影響を与える幼少期の経験
今回は、大人になってから精神的にネガティブな影響を与える幼少期の経験(Adverse Childhood Experiences :ACEs)と、逆に、ポジティブな影響を与える幼少期の経験(Positive Childhood Experiences :PCEs)について、科学的な研究も参照しつつ紹介してみたいと思います。
特に、ポジティブな影響を与える幼少期の経験についてはぜひ知っておいていただきたいと思います。
- ネガティブな影響を与える幼少期の経験(Adverse Childhood Experiences :ACEs)
- ポジティブな影響を与える幼少期の経験(Positive Childhood Experiences :PCEs)
ネガティブな影響を与える幼少期の経験については、子供に経験させるべきでない経験ということですから容易に想像できると思いますし、そう信じたいところでもありますので、ここではあまり触れませんが、いわゆる小児期からのトラウマが与える影響について長年研究されドナ・ジャクソン・ナカザワ氏の著書『小児期トラウマがもたらす病 ACEの実態と対策』は非常に参考になります。その分野を掘り下げて知りたい方にはおすすめです。
今回は、ポジティブな影響を与える幼少期の経験(Positive Childhood Experiences :PCEs)をわかりやすく紐解きながら、子育てで私たちが子供たちの将来のために体験させるべきことについて考察していきたいと思います。
ジョンズホプキンス大学の研究で、大人になってからの人間関係、つまり、人は一人ではいきていけないわけですから、人生の質を左右するとも言える子供時代の7つの体験というものがわかっています。
子供の頃にこの7つの体験をたくさんしておくと、大人になってからとても幸せになるのではないかとされています。
この研究では、18歳を過ぎた6188人の男女を対象に、18歳より以前にどのような体験をしたのかということを調べて参加者のメンタルの状態を調べました。
その結果、子供の将来のため体験させるべき体験が7つの指標としてまとめられています。
子供の将来のためになる経験とは?
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家族に自分が思っていることを話す
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辛い時に家族が味方してくれると感じた
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コミュニティのイベントへの参加
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高校時代に何かに所属している実感
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友人からのサポート感
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自分に関心を注いでくれる親以外の大人が2人以上いる
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家にいる時に、大人に守られている安心感
さて、みなさん自身は幼い頃にこれら7つの経験をどれぐらいされたでしょうか?
これら7つの経験の多い人ほど、大人になってからうつ病などメンタルを病んでしまう可能性は低く、周りにはいい仲間がいて社会的にも感情的にも安定した状態でいられたということが確認されています。
中でも、誰かにサポートされているという感覚とコミュニティに所属しているという感覚の2つがとても重要だったということもわかっています。
相応の経験をされてきた親御さん達ならわかると思いますが、人が幸せを実感するためには人間関係がとても重要です。だからこそ、子供に幸せになってもらいたいのであれば、将来いい人間関係に恵まれるためにも、この7つのPositive Childhood Experiences :PCEsを少しでも日常の中で増やすように意識してあげることが大切なのではないでしょうか。
もちろん、親であればほとんどの人たちが、子どもの幼少期の体験がその将来に大きな影響を与えることは直感的に理解しているでしょうが、具体的にどのようなことをすればいいのかという指標がなかった、あるいは、限定的だったために、正しい子育てを追い求めてしまうあまりに迷宮入りしてしまう親御さんも少なくなかったはずです。
あまり、難しく考えすぎるのではなく、なんとなくでもいいので子供と親がお互いに楽しい気分にならないことは極力避けながら、今回紹介させてもらった7つの経験を意識して増やすように働きかけるのがいいのではないでしょうか。
参考にしていただければと思います。
参考文献:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31498386
https://jamanetwork.com/journals/jamapediatrics/fullarticle/2749336