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今回は本屋さん好きにはたまらない一冊をご紹介!
本屋さんが好きといっても、鉄道好きにも写真におさめるのが好きな撮り鉄もいれば乗るのが好きな乗り鉄もいるように、本屋さんの何が好きなのかは人それぞれです。
純粋に本が好きな人、本屋さんの店員さんとのコミュニケーションが好きな人、本屋さんの紙や印刷の独特の匂いや雰囲気が好きな人、あらゆる情報があり学びたい時も暇を潰したい時も気軽に迎えてくれる存在が好きな人、その本屋さん独特の選書や手作りPOPが好きな人、本棚まるごと自分の部屋に持って帰りたいぐらいの本と本棚がつくる美しさが好きな人、いろんな本屋さん好きがいます。
世界的に独立系の小さな本屋さんは減りつつあるという残念な状況ですが、世界中の魅力的な街にはそれぞれ素敵な本屋さんが昔からあり、そのそれぞれの本屋さんはその街に暮らす人たちや縁あってやってきた人達をいつも優しく迎えて、そこで本屋さんならではの様々な人達の物語や歴史がつくられています。
そんな世界の魅力的な本屋さんのイラストとそこで聞いた素敵な話をまとめるというプロジェクトが以前『ニューヨーカー』誌のウェブサイトではじまり、それが発展して1冊の本として纏まっています。それが今回紹介したい『世界の夢の本屋さんに聞いた素敵な話』です。
本屋さんでの素敵な話で一番多かったのは、なんと本屋さんでプロポーズした話で、その次は、自分の妻だと思って後ろから抱きついたら別人だったという話だそうです。
そんなエピソードから、お客にとっても店員にとっても思い入れのある本屋さんという空間は、何かにつけて足を運ぶ場所でありコミュニティを作り保つ場でもあり、文化的な催しが行われる場でもありますので、その本屋さんならではの歴史と人と人との物語をまとめてくれている本です。
ひとつの本屋さんにつき、その歴史とイラスト、そして、そこで実際にあった素敵な話を見開きで紹介してくれています。物語を読むように、詩を読むように、画集を眺めるように、いろんな気分でゆっくり楽しめる本です。その一部を紹介します。
SCRIBNER’S BOOKSTORE
ニューヨークに1913年から1889年まであった本屋さんで、その建物は、建築家のアーネスト・フラッグ氏がチャールズ・スクリブナーズ・サンズ出版社のために設計した歴史的建造物で、ボザール様式の傑作です。
このスクリブナーズの社長のオフィスは店の上にあり、ヘミングウェイが新しい小説『誰がために鐘は鳴る』の原稿を持っていったところ、当時の社長は原稿の中にある言葉が気に入りませんでした。どの言葉か尋ねられた社長は口にするのもはばかられカレンダーにそれを書き、ヘミングウェイはそれを削除すると答えたそうです。翌朝社長の秘書は、今日の予定になぜ「ファック」と書いたのだろうと戸惑ったとか。
BOOK CELLAR
ブックセラーはシカゴで2004年から現在もあるお店で、シカゴの文学シーンに欠かせない存在だそうです。お店の名前は、本とワインが好きなオーナーが「ブック」と「ワインセラー」を組み合わせてつけたとのこと。
「ブックセラーは、非常に知的な余暇の過ごし方を2つ融合させた。読書とワインである。」
ーヘザー・クロソール『ハービンジャー』紙
WEBサイトはこちら▶︎https://www.bookcellarinc.com/
ADOBE BOOKS
サンフランシスコにあるアドビ・ブックスのウェブサイトでは、「私たちは本屋さんではありません。居間ではありません。小売店ではありません。コミュニティーセンターではありません。新たな友人に出会う場所ではありません。座り心地のいいイスはありません。大勢で囲めるテーブルはありません。美術や音楽のイベントはありません。世界最高の本屋とは言えません。生活協同組合が経営するビジネスではありません。ーアドビ・ブックス&アーツ協同組合。1989年以来、定義されるのを拒んでいます。」と書かれてあります。
このお店で最大の見ものだったイベントは、2004年にアーティストのクリス・コッブがお店中の全て色別に並べ直したことだそうです。虹色の順と白黒のセクションに並べ替えたとのこと。15人のボランティアと一緒に、一晩で2万冊の本を並べ直し、営業に支障が出ないように、作業は金曜の夜10時に始めて土曜の朝8時には終わらせたとか。さらに全ての本に棚の段と番号を記録したタグをつくり、元に戻せるようにしました。
WEBサイトはこちら▶︎https://www.adobebooks.com/
LIVRARIA LELLO
レロ書店は、ポルトガルで1869年から現在も営業されている本屋さんで、創業時は近くの別の建物にありましたが、何度か移転を重ね現在の建物に落ち着いたのは1906年で、シャヴィエル・エステヴェス氏が設計したもので、今でも世界で最も美しい書店のひとつと言われています。美しい曲線を描いてお店いっぱいに広がる階段が印象的です。
この階段は「ハリー・ポッター」に登場する動く階段のモデルだと言われているそうです。J・K・ローリングは1991年から1993年までポルトガルで英語の教師をしながら執筆されていたとのこと。
柱を飾る浅浮彫のブロンズ彫刻はポルトガル文学の登場人物がモチーフで、窓の上の人物画はジョゼ・ビエルマンによるものです。
WEBサイトはこちら▶︎https://www.livrarialello.pt/en-us/
いかがでしたか?
ご紹介したのはほんの一部だけですが、こんな世界中の夢のような一度は行ってみたい本屋さんのイラストと想像が広がる素敵なお話がたくさん紹介されています。
ぜひ手に取り世界中の本屋さんを旅する気分を味わっていただければと思います。