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街全体が本にあふれた「本の街」
今回は世界にはこんなにもステキな「本の街」があるのかと驚きながらも、いつかこんな街に旅をしてみたくなる魅力的な一冊を紹介します!
一冊の本、一軒の本屋さんでは物足りない。そんな時は、 街全体が本にあふれた「本の街」 へ!
Boekenstad(オランダ語)、Village du Livres(フランス語)、Bokby(ノルウェー語)、Bókabæirnir(アイスランド語)・・・表す言葉は違っても、「本の街」はカナダからアイルランド、オーストラリア、韓国まで世界中にあります。
この本は、そんな世界中の様々な「本の街」を集めて、それぞれの街の歴史や魅力に触れることができる一冊で、まさに“旅する気分で本屋さんを巡る”ことができる本です。
それぞれに「紙の本」の魅力や価値を伝え、本から得ることができる体験や価値を広げていこうと取り組んでいるコミュニティや本屋さん、出版社や建築家たち、次の世代のためなど様々な思いを持ってたくさんの方々が世界中で取り組んでいます。そこにはその街ならではの文化の中心に本という存在があります。
「本の街」といっても、個人の本屋さんにより運営されているものもあればボランティアによるものも何かしらの団体によるものもありますが、 「本の街」はそれぞれの文化の発信手段として本の魅力と価値を用いて、街のイメージを構成し観光客を惹きつけています 。
紙離れや本屋さんの閉店が多く聞こえる世の中ですが、「本の街」へ旅すると単なる読書を超えて他にはない体験をできるのではないでしょうか。
まずはこの本でそれぞれの「本の街」の歴史や魅力に触れてみてはいかがでしょうか。
今回はこの本の中からいくつかの「本の街」を紹介しておきます。
キュイズリー/フランス
キュイズリーは、ブルターニュ地域圏のソーヌ・エ・ロワール県に位置して、リヨンから北に110km、パリから南に370kmほどの場所にあります。船が停泊できる浮浅橋も多い街です。
まさに本好きにはたまらない街で、街中が本で溢れています。キュイズリーのお店のほとんどが、本屋さんか、印刷や製本、出版に関わるお店で、アーティストも多く住んでいる街だそうです。「本の街キュイズリー」は1999年にフランスで4番目の「本の街」として始まり、当時は地元の商店が次々と姿を消していき活気を失っていく状況で、それをなんとかしたいということから始まったそうです。
毎月第一日曜日にはブックマーケットが開かれ、街の外からの本屋さんの出店も積極的に受け入れています。一年を通して様々なブックイベントが開かれています。
「本の街キュイズリー」のHP▶︎https://cuisery-villagedulivre.com/
ヘイ・オン・ワイ/ウェールズ
ヘイ・オン・ワイは「本の街」発祥の地です。全ての始まりは書店主リチャード・ブースのアイデアからでした。
彼は1977年に、廃れていく故郷ヘイ・オン・ワイの経済を救い都心部への人の流出を食い止めるために、自らを「ヘイの王様」と名乗り注目を集めました。彼は国際的なプロジェクトとして、世界中に「本の街」をつくり、街同士が緩やかに繋がり共同しながら運営を続けていくことの重要性に気づいていたそうです。1931年に最初の書店を開き、その後徐々に増えて1970年代には「本の街」として知られるようになりました。
小さな田舎町から古書を愛する人々にとってのメッカに変わり地域経済も発展してきました。
5月から6月にかけては「ヘイ文学フェスティバル」が10日間にわたって開催され、毎年世界中から何十万人もの観光客と著名な作家、科学者や音楽家などを集めています。
「ヘイ・オン・ワイ」のHP▶︎https://hay-on-wye.co.uk/
リリプットハンメル/ノルウェー
「本の街」ではどこでも児童書は大切です。子供の本だけを扱う本屋さんもたくさんあります。
ノルウェーには、世界でたったひとつの「子どもの本の街」があります。リリプットハンメルという街は、子供と家族が一緒に楽しめる小さな遊園地です。この街の目玉はミニチュアで再現したリレハンメルのメインストリートです。建物は全て1/4のサイズで建てられています。建物は1930年代の姿を再現していて、ミニチュアの町並みには、40を超えるお店とホテルが2軒、カフェが3軒、警察署や映画館もあり、ほとんどが実際に営業しています。その中に、「チルドレンズ・シティ・オブ・ブックス」があり、6つもの建物から成る店内には、子どもたちのための本が15000冊も揃っています。
全てが子どもたちのために作られていて、子どもたちが興奮し遊びまわって楽しめる遊具から、本の貸し出しを実際にできる図書館まであり、様々なイベントも開かれています。
「リリプットハンメル」のHP▶︎https://lilleputthammer.no/
サン=ピエール=ド=クラージュ/スイス
サン=ピエール=ド=クラージュは、スイスアルプスのフランス語圏の自治体で、シャモソンに位置する街です。
この「本の街」で特におすすめのイベントは、「文学サイクリング」で、街をのんびりサイクリングをしながら文学の名所を巡るコースが用意されています。他にも、ワイナリーや自然体験を組み合わせたコースも用意されていてコースの地図は「本の街サン=ピエール=ド=クラージュ」のHPからダウンロードできます。
アルプスの山々に囲まれた美しい風景が楽しめる中、年に一度のブックフェアでは村の中の建物はもちろん通りや回廊までが本屋さんになります。
「サン=ピエール=ド=クラージュ」のHP▶︎https://www.village-du-livre.ch/
ウィグタウン/スコットランド
ウィグタウン/スコットランドは、本を愛する人々に短い期間ですが自分の本屋さんを開くという夢のような機会を与えてくれます。「ジ・オープン・ブック」では、最長2習慣まで本屋さんを開くことができます。出店者はお店を運営している間は上階のアパートに滞在することができて、驚くほど安い料金でお店が出せるので1ヶ月先まで予約はいっぱいです。
様々なテーマやジャンルの専門店やくつろげるカフェも充実して、誰もが落ち着いて過ごすことができる「本の街」です。
いかがでしたか?
ご紹介した「本の街」はごく一部で、世界中にはまだまだ魅力溢れる「本の街」があります。この本では、もちろん、日本の神保町も紹介されています。本好きなら一度は訪れたい泊まれる本屋「ブック・アンド・ベッド」も。こちらは以前オープンした頃に取材させていただいています。
泊まれる本屋をコンセプトに人気のBOOK AND BEDに泊まってきました! 池袋駅から歩いてすぐのビルを8階へ。フロントは8階です。 エレベーターを降りると目の前にいきなり独特な空間が。 閉ざされたシャッターに一瞬たじろぎますが、出てきたスタッフの方はとても感じがよく一安心。 ...
今回紹介した『世界のかわいい本の街』では、40以上の世界中の「本の街」が紹介されています。それぞれにその歴史や文化についても紹介されていますが、その魅力を感じることができる写真も豊富ですので、カップルや家族で旅行気分で一緒に楽しんでみてはいかがでしょうか。ぜひ、旅する気分で本屋さんや本の街を巡ってみる、そんな気分を味わってみてください。