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「ピタ~ゴラ~スイッチ♪」
小さなお子様がいる方なら、一度はテレビで見たことがあるのではないでしょうか?
Eテレで放送されている、言葉や形、リズム、構造を面白く考えて、大人も子供も「なるほど!」と楽しめる番組です。
今日は、そのピタゴラスイッチ制作に携わっているクリエイティブ集団によって作られた絵本シリーズ「コんガらガっち」をご紹介します。
まず、主人公は「いるか」と「もぐら」がこんがらがってできた「いぐら」。
この時点で、もう子供たちは、興味津々!
その何とも言えないフォルムに大人もほっこりしちゃいます。
そして、「いぐら」がお友達の「たらす」の家に遊びに行く途中に、道が2つに枝分かれ。さぁどっちを選ぶ?と子供に好きな道を選ばせながらページをめくっていくという仕掛けになっています。
どっちを選ぶかによって、いぐらの身に起こることが変わってきます。さぁ何が起こるかな?とワクワクしながら、子供が笑顔で道をたどっていく・・・。
というストーリーですが、この絵本シリーズ、実はとっても奥が深いのです!
曲がりくねった道や、前のページに戻る道など、常にまっすぐではない道!
1冊の中には、お話が3つ入っています。
枝分かれした道を選択していき、ゴールにたどりつくお話。
好きなおかずをどんどん選んで、オリジナルどんぶりを作るお話。
しりとりをしながら進んでいくお話。
すごろくのようになった洞窟を、探検していくお話。
などなど、ただ道を進んでいくのではなく、様々な進み方のバリエーションが取り入れられています。
その「道」は、時にぐるっと1回転していたり、
階段や坂になっていたり、
間違えて前のページに戻るようになっていたりと、
まるでリアルな人生をイメージしているようにも思えます。
もちろん、子供たちはただ楽しむだけでいいのですが、
目的地に行くまでには、いろいろあったね~。
という印象は心のどこかに残るはず。
これからの長い人生で、
失敗しても、やり直せばいいよ とついつい教えたくなります。
また、ぐるっと回る道を指でなぞったり、
ページをめくってどこに道が続いているのかを確かめたりと、
自然に指と頭を使っているので、脳への刺激にも良さそうですね。
最初は指でうまく道をなぞれなくても大丈夫。
パパやママが指を持ってあげても、子供は嬉しいでしょう。
ひらがなを読む練習と、オリジナルキャラで想像力を高める
主人公いぐらの他にもたくさんのキャラが作られていて、巻末に掲載されています。
みんな、2つの動物がこんがらがってできたオリジナルのキャラ。
一筋縄にサッと読めない名前もあるので、親子でゆっくりとひらがなを読むのにも最適です。
楽しみながら読んでいるうちに、いつのまにかスラスラ読んでいる!
なんてことも。
そしてその外観は、2つの動物がかけあわさっているので、
どの部分がこの動物で、どの部分がもう一つの動物なのかを考えることも楽しいはず。
「あなたならどんな名前にする?」「あなたならどんな形にする?」
と子供に質問してみることで、想像力が豊かになりそうですね。
また、子供たちは大人より記憶力が抜群なので、
何度も読むうちに、オリジナルキャラを全て暗記!なんてこともあります。
名前を隠して、名前当てゲーム!という遊び方もできちゃいます。
言葉と言葉を混ぜて、新しい言葉を作るという遊び方を覚えることで、
大人では考えつかない斬新なアイデアが生まれた!
なんてこともあるかもしれません。
イヤイヤ期の子供は、「自分で選ぶ!」ことがしたい
幼児期のお子さんを育てているパパやママにとって、大きな悩みの一つでもあるイヤイヤ期。
何でも「いやいや~」と言われると、本当にへとへとになってしまいますよね。
そうなったときの解決策の一つとして、
「自分で選ばせる」という方法があります。
親「早く洋服を着て!」 子供「いや~!」
選択肢で選ばせると、
親「この洋服とこの洋服、どっちを着る?」 子供「こっちを着る。」
親「朝ごはんを食べるよ!」 子供「いや~!」
選択肢で選ばせると、
親「朝ごはん、パンとごはんとどっちがいい?」 子供「パンがいい。」
というように、子供自身が「自分が決められる!」と思えることで、スムーズにいくこともあると思います。
まさにこの絵本は、 行く道を自分で決められるから、その時期の欲求を満たしてくれる でしょう。
選んだ道の先には、怖い動物がいたり、川があって渡れなかったりということもあります。
自分で選んだ道なのだから、自分で解決しよう!
とまでは言わないけれど、
自分で選ぶことの責任のようなものが、ちょっぴり分かるのでは?
と期待してしまいます。
先が分かっていても、面白いから何度も読みたくなる
大人からすると、道の先に何があるか分かっているので、一度読んだら飽きてしまうのでは?と思うこともあるでしょう。
ところが、この絵本は 子供たちが何度も何度も「読んで!」と持ってくる のです。
途中で穴に落ちてしまったり、お腹が痛くなったりと、トラブルがたくさんあるのですが、
そこがくすっと笑えるイラストとストーリーなので、
子供たちは 「次はこうなるぞ~」とワクワクしながら楽しめる のです。
心の中で、「この前はこっちに行ったから、今日はこっちに行こう」とか、
「こっちに行くと早く終わっちゃうから、前に戻れるこっちに行こう」とか、
何度も読むうちに、頭で考えながら選ぶようになっていきます。
寝る前の絵本として読んでいると、
親は「え~!そっちに行くとまた戻っちゃう~。」と思いがちですが、
きっと子供たちは「しめしめ」と思っていることでしょう。
せっかくだから、とことん付き合ってあげましょうか。
そしてしばらく読まない時期が続いて、内容を忘れた頃にまた読めば、新しい本のように楽しめるでしょう!
子供たちはただ楽しみながら道を進んでいくだけ。
でもそこには、
人生のストーリーを教えてくれたり、
ひらがなの勉強だったり、
自分で選択できる意思を育てたり。
と、数えはじめたらキリがないほど、
育児のポイントがギュッと詰まっています。
「コんガらガっち」シリーズ。
その奥の深さを体感しつつ、親子で是非楽しんでみてください。
ライター:Tomoko
4歳の男の子を育てる編集者&ライター。神奈川県在住。
小説、エッセイ、雑誌、お料理本、旅本など何でも読む。
毎日寝る前に絵本3冊の読み聞かせが日課。