読書については、誰でもいいイメージがあるはずです。
子供が泣いているからとスマホでYouTubeを見せると落ち着いてはくれるけど、なんとなく親の心の隅には罪悪感があるでしょうが、読書をさせて罪悪感を感じる親はいないはずです。
それぐらい誰でも読書は良いもので大切だと分かっているわけです。
ところが、実際には大人でも最近なかなか時間がなくて本を読めていないとか、読書する気になってもついつい眠くなったり結局積読になり自己嫌悪に陥ってしまい、読書というものから離れていく人が少なくないのではないでしょうか。
今回は、読書をなんとなく良いものなのは間違いないけれど、どれぐらいどのように良いものなのか? そんなことを知っていただくために、多少露骨ですが、「読書と年収」について掘り下げてみたいと思います。
10冊以上読むと年収は21%アップ?!
まず、2015年にパドヴァ大学の教授らが発表した研究(#1)によると、 10歳の頃に学校以外で10冊以上の本を読んだ子供は、全く読まなかった子供に比べて将来の年収が21%も高くなった ということがわかっています。この研究は、1920年〜1956年の間に生まれたヨーロッパ9ヶ国の男性を対象に、子供の頃に家にどれぐらいの本があったのかということやどれぐらい本を読んだのかということを調べて、それを大人になってからの年収と比較するということを行なっています。
この結果わかったこととしては・・・
子供の頃に学校以外で自分が読みたいと思う本を最低10冊読んだ人は年収が21%高かった
田舎に住んでいる人の方が都会に住んでいる人よりも、年収アップの効果は高かった
10歳の頃に家にあった本の冊数が多いほど、当時の成績は良かった
両親の職業や収入は関係がなかった
ということです。
これらから、親が子供の将来のためにできることとして考えられるのは、まずは、 子供が本を読みたいと興味を持てるように、親が本を読む姿を、本を楽しんでいる姿を普段から見せる ことと、 子供が興味を持って新しいことや知らないことを自分で調べたり理解したいという思いを持てるように環境を整えて、子供が読みたいと思った本はいくらでも買ってあげれるように頑張って稼ぐこと なのかなということです。
そして、田舎に住んでいる方が、読書の年収に与える影響は大きいということですから、地方に住んでいるのであれば、そのメリットを十分に活かせるように尚更本を読める環境を与えてあげた方がいいということになります。
地方の街の本屋では、大きな本屋さんとは違って品数は少ないかもしれませんが、比較的に子供の限られた目線でも十分に目が届く範囲に選択肢があるので、自分の好奇心に沿って今まで読んだこともないようなジャンルの本にも挑戦したい気持ちになるかもしれません。
さらに、親の職業や収入のレベルよりも、読書に普段から触れられる家庭環境があったかどうかということが大切なわけですから、親もやはり読書を楽しむことが子供のためにも大切だということになります。
読書は、子供も大人も多様性も重要!
別の日本の研究ですが、世代間の差に注目しながら、子供の頃の読書が大人になってからの意識や行動にどのような影響を与えるのかという調査(#2)があり、これによると、読書の量だけでなく多様性の重要性が見てとれます。
子供の頃の読書は大人になってからの収入にも関わるわけですが、当然大人になってからの読書習慣にも影響を与え、それはやはりキャリアや収入にも関わってきます。だからこそ、子供に対しては、読書についての周囲からの直接的な関わりが重要になってくるわけですが、なぜか教育の現場では、読書の楽しさや読書から得た知識の使い方を教えてはくれません。
ということは、親が子供の読書に対して子供がそれを楽しめるように環境を整えサポートすることが重要だということではないでしょうか。
この調査では、 子供の読書活動に新たな出会いがあるように、大人が複数のジャンルを読めるように環境を整えることの重要性 を示しています。
ということは、大人自身も子供以上に好奇心を持ち、違うジャンルの本も読んでみようとか、今まで読んだことのないジャンルの本でもひょっとしたら大好きになるかもしれないと考えて読書を楽しんで見ることも必要でしょうし、そんな姿を普段から見せることで、子供の可能性はいくらでも広がるのかと思います。
新型肺炎の影響もあり、人混みを避けざるを得ない状況でもあります。
何かと大変な状況の方もおられるでしょうが、あえてこれを好機と捉え、子供の将来のために、自分のために、家族で読書について話し合ってみて、ちょっとだけいつもとは違う本にみんなで挑戦してみるのもいいのではないでしょうか。
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1111/ecoj.12307
https://www.jstage.jst.go.jp/article/sor/58/1/58_29/_pdf