こんにちは、NetGalley(ネットギャリー)の藤吉です。
今回は、登録会員タイプが教育関係者のクトリエ沙織さんのお話を伺いました。沙織さんは、フランス在住であり、ネットギャリーを長くご利用いただいているヘビーユーザーさんです。海外からどのようにネットギャリーを活用されているのか、その様子をお届けしていきます。
目次
フランス トゥールーズ日本語補習授業校
フランスの首都パリから南西に700キロほど離れた場所にある都市、トゥールーズ。人口は約45万人で、レンガ造りの建築物が多く、街全体を赤褐色に映し出すことから「バラ色の街」と呼ばれている。歴史と美しい観光スポットがある人気の観光地であり、大学が多いことから、学生や外国人で賑わう街でもある。
沙織さんが勤めるトゥールーズ日本語補習授業校は、日本政府文部科学省より認可を受けた日本語補習授業校であり、その地域に住む日本人子女の幼稚園、小中学生児童を主に対象として、週2回の頻度で授業を行なっている。
日本の教科書を中心に授業をしたり、日本の季節ごとの行事や文化に触れたアクティビティを取り入れたり、様々な工夫がされている。学校図書館には日本語の絵本や童話を所蔵も多数蔵書されている。
▲幅広い年齢層に合わせて様々な教材が用意されている教室
▲風呂敷を使ったアクティビティ。様々な折り方に挑戦!
累計レビュー数が500件超のトップレビュアー
ネットギャリージャパンがオープンしたのは、2017年10月。沙織さんは、たまたまインターネットでネットギャリーを知ることになり、早々に登録されたのだが、その仕組みに驚いたという。海外在住がゆえに、和書になかなか触れる機会がない沙織さんにとって、新刊との出会いの場として、ネットギャリーを重宝しているそうだ。
リクエストが承認されて読むことができた本に対しては、しっかりとフィードバックも出版社に提供している。その数は、なんと500件超。2021年2月時点で、トップのレビュー数を誇るネットギャリー会員である。そのレビューは、ただ感想を書き流しているだけではなく、教育関係者としての視点で本を評価することもあれば、自身のバックグランドと重ねて、その作品に共感したポイントを書いている。
沙織さんのレビューは、POPや本の帯に使われることも多々あり、『熟れた月』(宇佐美まこと著/光文社)は、最初にレビューが採用された思い出の作品だという。
▲POPに採用された思い出の一冊。帰国したタイミングで本も購入した。
『ぼくは恐竜~~』海を越える
ネットギャリーは、2020年1月に絵本『6600万年前……ぼくは恐竜だったのかもしれない』で帯コメント募集企画を出版社と共同で実施した。作家のくすのきしげのりさんと画家のCANさんの選定のもと、沙織さんのレビューが帯に採用されることとなった。
「自分のレビューがPOPや帯に使ってもらえたりすると、本好きにとってはこれ以上に嬉しいことはないです。気に入った本を自分の言葉でおすすめすることにやりがいを感じますし、また本を応援しようという気持ちになります。」と沙織さんは語る。
コロナ禍のおうち時間を応援する企画として2020年5月に開催された「おうち時間応援キャンペーン with くすのきしげのり」でも沙織さんは、多数のレビューを投稿した。企画に参加者した方全員にプレゼントとなった恐竜エコバッグは、日本語補習授業校の児童にプレゼントしたという。
▲恐竜好きな子どもたちは、日本語が書かれた恐竜グッズに大喜び。
この企画のために、イラストを描き下ろした恐竜画家のCANさんは、「自分の書いた絵が、海を越えて、フランスの子どもたちにも知ってもらえて嬉しいです。グローバルな展開ができるのもネットギャリーならではだと思います。」と感激した様子であった。
まさにグローバルサービスであるネットギャリーは、フランス版も存在する。同じ会員IDでアクセスすることができるので、フランスの出版物に興味のある方は、ぜひアクセスしてみてほしい。
図書を通じて日本の文化を伝える
沙織さんは、教師の立場から見て、学校教材として合う本を見つけては、購入リクエストリストに追加していっているという。ネットギャリーに掲載されている作品から選書することも多く、特に昨年は、学習資料書籍が多く掲載されていたため、ネットギャリーを活用することが多かったという。ポプラ社刊行の『現地取材! 世界のくらし』シリーズはぜひ子どもたちに読んでもらいたいと、リストに加えたとのこと。
新星出版社から掲載された『折り紙コレクション』は、日英の対訳本でもあるため、英語と日本語の両方の学習にもなりながら、日本の文化を伝えることができる優良な教材であるという。折り紙は子どもたちに人気なアクティビティなので、さっそく授業に取り入れたいと積極的に活用していく様子であった。
「フランスに移ってから日本料理を作る機会が増えました。日本食が手に入らないわけではありませんが、自分で作った方が早くって。この前は味噌も自分で作りましたよ(笑)。日本食に関心を持つ方は海外では多く、『英語で作る 料理の教科書』も対訳本なので、周りの方にもおすすめにしやすいです。」
こちらの料理本も日英対訳本となっているため、外国人からも人気な一冊である。
沙織さんは「ラベージュだより」を独自で発行し、保護者たちに子どもたちや学校の様子を伝えている。おすすめの図書もこちらで紹介することもあり、先月号では、NetGalleyで読んだ『 絵で見る統計 世界の国ぐに』(ミレイア・トリウス/文 ジョアナ・カザルス/絵 宇野和美・中山映/訳、あすなろ書房)を紹介したところ、保護者から反響があり、すぐに購入された方もいたという。
▲2021年睦月号では、NetGalleyで読んだ『やさいだいすきだワニ』(タンム・ニュウ/文・絵 中川ひろたか/訳、おむすび舎)を取り上げている。
最近では、同僚にもネットギャリーを紹介し、学校内でも利用している先生が増えてきたという。「ネットギャリーを今後も活用し、フランスに住む子どもたちに、日本の本をどんどん紹介していきたいです。そのためにも、ネットギャリーで様々な本と出会っていければと思います!」と今後の抱負を語っていただいた。
インタビュー後記
あっという間の1時間のインタビューでした。何事にも積極的に取り組まれる沙織さん。コロナ禍でフランスも大変な状況でありながらも、明るく元気な様子にとても勇気づけられました。沙織さん、お忙しい中、ありがとうございました!
連載:NetGalleyのすすめ~書店員インタビュー記~
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